「あたなは“うつ”ではありません」 山田博規 著を読んで | I read the book “You are not Depression”


 Twitterで著者の山田博規さんからお声がけ頂いたのがきっかけで「あたなは“うつ”ではありません」を読みました。内科がご専門で、産業医として業務中に精神医療に疑問を感じだしたそうです。僭越ながら、私の感想や意見を書かせていただきます。

 ”うつ”ではないなら一体何なのか。その答えはパラダイムである。

 

パラダイムとは…

ある時代に支配的な物の考え方・認識の枠組み。規範。「企業は新しいパラダイムを必要としている」

出典:paradigm(パラダイム)の意味 – goo国語辞書

 

 パラダイムとは「こういうものだ」という考え方のモデルのことです。地球は太陽の周りを公転しているのを俯瞰して見たことはありませんが概念は知っています。パラダイムシフトという言葉もあり、従来のパラダイムから完全に脱した新たなパラダイムが生じたときに使います。例としては、天動説から地動説への移行をパラダイムシフトが生じたと言います。パラダイムシフトが起きる前のパラダイムは単なる確からしい常識です。常識を疑いだしたときにパラダイムは浮き彫りになると言えます。

 モノアミン仮説というパラダイムが現在も精神医療で通用しています。モノアミン仮説とは神経伝達物質の不足により”うつ”など精神疾患が起きているという考え方です。しかし、臨床現場で全くモノアミン濃度を計測していません。問診など主治医の主観に頼った診断をしていて、第三者が後から検証することはできないのです。それに一義にモノアミン濃度の正常値を決める事は出来そうにありません。その人の正常値は、健康時のモノアミン濃度を定期的に計測して記録しておかなければ分かりません。そもそもモノアミン濃度と”うつ”の関係性も怪しく、あくまで仮説です。モノアミン仮説は臨床に耐えられるものではありません。臨床現場では患者に向き合うのではなく、モノアミン仮説というパラダイムと向き合っています。これは治療と言えません。

 DMS(精神障害の診断と統計マニュアル)という診断基準を用いれば、機械的に”うつ”やその他の精神病の患者を作り出せます。DMSに診断を頼った時点で精神医療は患者を診るのを放棄したといってもいい。DMSバージョン3が1980年、DMSバージョン3Rが1987年、DMSバージョン4が1994年、DMSバージョン5が2013年に登場しました。1980年以降から精神科医が向精神薬のセールスマンになったのです。

 精神科医は海外の権威者や製薬会社から”うつ”やその他の精神疾患のパラダイムをインストールされてしまいました。一般市民も製薬会社と医師・薬剤師から同様にインストールされてしまいました。これは洗脳です。しかも向精神薬を与えながらの洗脳です。

 著者はパラダイムを問いただし変えていく必要があると主張しています。しかし問題あるパラダイムを葬り去っても、新しいパラダイムは神出鬼没です。一般市民サイドから見ると医療業界のパラダイムは巧妙に企画されているので、そのパラダイムが自分の利益になるかは予めわかりません。医療業界のパラダイムは雲の上の存在です。

 話がそれますが、仮想通過もパラダイムです。ニュースでご存知と思いますが仮想通過はパラダイムを受け入れた人だけに存在するものです。新しいパラダイムにはリスクが伴います。

 私はパラダイムに巻き込まれない自衛をおすすめします。モノアミン仮説とDSMに支えられてきた”うつ”のパラダイムも、約38年経過してようやく著者が明らかにしました。新しいパラダイムには用心をお願いします。向精神薬の新薬は有料ベータ版だと考えた方がいいと私は思います。薬の服用前に添付文書を読むことを推奨します。

 認知脳科学では、人は物理的現実世界をそのまま見るのは不可能とされています。人それぞれの臨場感がそれそれの現実です。パラダイムは人にもっともらしい臨場感を与えるテクニックだと思います。他者から与えられたパラダイムに惑わされないためには、自分への信頼と、大きくて遠くにある理想(ゴール)が必要です。

 本書も一つのパラダイムとも言えます。しかし著者は新しいパラダイムを明確に示してはいません。それによって最初は無責任な感じがしました。実はそれが責任ある態度だと考え直しました。著者が新しいパラダイムを押し付ける事は、同じ過ちの始まりかもしれませんから。みなさん一緒に考えましょうという呼びかけと受け取りました。

 被害を受けた当事者としては20年早く教えていただきたかった。私は断薬して約5年経過するところなので、分かったところでもう遅いという気持ちもあります。そういう意味では救いがないと感じました。それと、医師がパラダイムを間違い続けたことについて、悪意があろうとなかろうと、プロとして積極的に責任を引き受けてください。悪意がないのが一番相手を騙せるので最悪です。

 間違ったパラダイムは、間違った地図に等しい。間違った地図は間違った場所へ人を案内します。

 本書は精神医療の歴史を知り、現状把握するには良書だと思います。厚生労働大臣を始め医療行政に携わる方々、精神科・心療内科など精神医療に携わる方々、薬剤師の方々、心理カウンセラーの方々に読んでいただきたい。それに加えて、経営者、職場のメンタルヘルス担当、部下を持つ上司、働く人々にも読んで欲しい。コンパクト(新書232ページ)にまとまっています。

 通院する前の方やそのご家族にとっても価値ある一冊です。

 精神医療から被害を受けた方は、本書を読むことで気分が悪くなる可能性があります。”うつ”のパラダイムが分かり、間違った治療を受けてきたと理解しても、時間もお金も返ってきません。私は覚悟して本書を読みましたが、ボディーブローのように後から具合が悪くなりました。裁判を起こしている方のように、事実を具体的に積み上げていく必要性がある方には役立つと思います。裁判になると個別の案件になり、パラダイムとは切り離された孤独な戦いを強いられているように感じます。立証責任は原告にあるので、一般市民には大変な負担です。被告は知識も財力も潤沢である為、容易な裁判ではありません。

 医師の山田博規さんが執筆して本が世に出たことは大変意義のあることです。顔も名前も表に出して精神医療に異議を唱えてくださった勇気に感銘を覚えます。ありがとうございます。これから売り手良し、買い手良し、世間良し、未来良しの四方良しに変えていきましょう。

 リスクを負ってまで精神医療を受ける事はない。向精神薬を飲んではいけない。被害を受けたと気づいた時にはすでに遅すぎる。精神医療に解決策を求めるな。そこには人生の答えはない。自信をもってそのまま生きていけばいい。もっと自分を大切に扱え。そう、精神科を最初に受診する前の私に言ってあげたい。

 

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